鍼灸師との親睦会の席で、「患者さんは、かならずしも治りたいと思っているとは限らない」という話題をしたところ、非難の異論の嵐。
冷ややかに「先生のところへ来る患者さんが特殊なのでしょう。ウチの患者さんはみんな治りたいとおもっていますよ」などと言われる始末。興味を示したのはわずか一名。とても重要なテーマだと思うのに、その方面の話をする関心と素養なないのです。
時間の無駄だと思い、それ以来そういう席には参加していません。
さて、本人も気付かない無意識レベルで、治ることに抵抗している様々な葛藤があることも考えなければ、とくに慢性症状の緩和は難しいと思います。
通常、体の故障は放置しても治るメカニズムです。
では、なぜ、慢性症状は慢性的に推移しているのか。
それは、負荷になる原因が続いているか、気付かないまま、いわば治らないような努力をしているからです。(不可逆的な故障をのぞく)
人は、その症状や病気によって、精神的なバランスをとっている場合があるということも、計算にいれる必要があると考えています。
治療の後の実感として、「呼吸が楽になった」という感想があります。
特に息苦しい感じではなかったはずなのに、治療によって呼吸が楽になるというのは、呼吸運動を妨げる自覚しない身体緊張があったということです。
私自身も、疲れたり、体調が悪いと、深い呼吸ができない感じがします。
胸に緊張があって、深く呼吸できないとか、腹部に緊張があってダメだとか、パターンは様々ですが、息が痞(つか)える。
常の呼吸運動のスムーズさは、体調の第一の指標といえます。
多くの人が、「息を詰めた」状態で生活していることを自覚すらしていません。