70歳代男性。
10ヶ月ぶりの来院。
話によると、半年前に急性心不全で意識不明となり、1ヶ月ほど入院していたとのこと。
なお、検査では心臓そのものには異常は見つからなかった。
興味深い話として、それ以来肩こりや腰痛をあまり感じなくなったという。
体を拝見してみると、以前は癖のようにあり続けた身体の歪みが大変少ない。
意識不明の数日間で、歪みの原因の筋肉などの慢性緊張がすっかりリセットされ、結果としてアライメントが改善されたのだうか。
患者さんとの会話から
健康とは、いろいろ工夫して、良いと言われる方法をどんどんおこなって、それでやっと実現するというものではありません。
生命は、良い健康の状態が基本の姿であり、それがニュートラルな状態です。
では、どうして不健康な状態があるのかといえば、生活のスタイル、通常の心身の使い方に、健康を害するマイナスな使い方があるから....それがもっとも大きい。
ですから、健康になるためには、健康にとってマイナスにはたらく、生活スタイル、心身の使い方を反省して、これを改めることがもっとも重要です。
新たな方法論や手法を加えて必死に努力するのではなく、今までのダメと思える部分を引いてゆくのですね。
そうすれば、本来の当たり前な姿がでてくると思います。
健康法というものがあるとすればは「引き算」です。
方法を加えて「足し算」にしてはいけません。
産後の自律神経失調
産後には、「産後の欝病」のように全く気力がなくなり、通常の生活ができなくなるケースはよく知られています。
そこまで重症でなくても、もっと身近にあるのが自律神経失調状態です。
症状は、頸や肩のこり、眩暈(ふらつき、ふわふわ感)、吐き気、便通異常、不眠など様々です。
これらは、育児や家事などの心的疲労と肉体疲労の継続的な負荷によって起こるものだと考えられます。
さて、産後自律神経失調の治療の着眼は、頸部の緊張をどのように緩和させるかにあります。
「肩こり」はいうまでもなく、眩暈感や吐き気などの原因も頸部の緊張にあると考えられるからです。
まず、「眩暈(めまい)感」ですが、これは頸部の筋緊張により首の動脈が軽く圧迫され続けることで、軽い脳貧血(脳循環障害)が頻発するのだと思われます。
同じく吐き気も、頸部の筋緊張が迷走神経を刺激することによって起こると考えます。
実際に、マッサージなどで頸部を軽く弛めると症状は軽減されます。
頸部や肩部を蒸しタオルで温めたりすることも効果的です。
風邪の漢方薬として一般に知られている葛根湯も、頸部を弛める効果がありますので、有効な場合があります。
いずれにしても、このケースには鍼灸の治療により改善が期待できます。
お困りの方は、一度お近くの鍼灸院へご相談ください。