鍼の技法にも、様々な方法があります。
鍼を刺す深さということだけにしぼってお話すれば、深く刺す方法もあれば、浅く刺す方法もあります。極端にいえば刺さない(接触鍼)方法もあるのです。
ところで、深く刺した場合と、浅い場合では、どちらの方が痛みを感じやすいでしょうか。
意外と思われるかもしれませんが、実は「浅い方が痛みを感じやすい」のです。
そもそも痛みというのは、痛みを感じるセンサーがキャッチして、その情報を中枢へ伝えて感じる仕組みです。
ですから、センサーがないところは痛くない。
例えば、肝臓などは痛みを感じない臓器といわれますが、肝臓の中に痛みを感じるセンサーが少ないのですね。
脳も同様で、脳の中の血管や、脳の周りの膜組織には痛みを感じるセンサーがありますが、脳細胞そのものは痛みを感じません。
話が横にそれましたが、では皮膚と筋肉では、どちらが痛みを感じるセンサーが多いのかといえば、皮膚の方が多いといえます。
ですから、鍼は浅いほうが痛みを感じる確立が高いといえます。
さて、鍼師は鍼をほとんど無痛に刺す技術を用います。これは痛みを感じやすい皮膚の浅い部分を、速いスピードで貫通して、痛みのセンサーを興奮させないようにしているのです。