整体というと、一般に骨格を矯正すると思っている人が多い。
しかし私は、整体が骨格の調整を重要と考えたのは、「歪」の修正を念頭にしたからではないと思う。
体を動作させるときに、感覚の主を何において動作をするべきか。
筋肉を主とした「肉感」を極力消して、あたかも骨格が動作ているような感覚になりえた時に、いわば達人的動作が生まれる。
日本の文化における動作の規範が、骨の操作を重視した感覚に由来したためだと考えている。
動作の準備として、ある姿勢(フォーム)をとる。
このときに、肩に力が入っているからその力を抜くというようなイメージではなく、ただただ骨格状態をとらえ、各骨や関節を微調整することに集中すると、余分な筋肉緊張が消えて、独特の意識状態(境地)を感じる。
このときの身体の実感は、充実して爽快。心的には静かで心地よい。
このような状態を作り出すことが、本来の整体の目的であり、骨格に着目した目的は矯正にあるのではなく、骨格を意識化させ、動作感覚を修正することに必要な観点であったためだと考える。