学校へ行く時間になると腹痛がして、不登校状態の女子高生の治療を依頼されたことがあります。
実際は、もっと様々な症状を抱えているケースで、気分が落ち込み、体はつねに疲労感をおぼえ、一日の大半を眠ったりあるいは横になって過ごしている。外出も億劫で、定期的な病院への受診以外では外出もしないという状況でした。
私は臨床的な心理士でもカウンセラーでもありません。心因的とも考えられるこの状態に、鍼灸に何ができるのかとおもいますよね。
しかし、意外にも本人の治療感想はよかったのです。「治療のあとは、気分がハイになって、なんだかとても外出したくなる。昨日も治療のあとに本屋に出かけた。それまでのお薬や、カウンセリングではこんなことなかった」
そのような感じで数ヶ月経過し、曲折はありましたが、外出への不安がなくなり、普通の生活にもどることができました。
このような例も、昨日の鎮痛のメカニズムで書いたような、脳内における快物質の増加が貢献していると考えています。