伝統的鍼灸において、施術は、気血を調整するためにおこなうといいます。
血とは、血流の状態、貧血でいうような血の成分や量的状態、慢性的な鬱血状態における血の質的悪化などを意味していると考えます。
では、「気」とはなんでしょうか。
「気」は、東洋医学の中核をなす概念です。肉体的、精神的な生命活動全般を、この「気」の概念をもって説明しています。
現在、この「気」を科学的に説明しようとする取り組みもなされていますが、いまだ合理的な説明ができるには至っていません。少ない根拠で科学的に説明しようとすると、逆に胡散臭い印象になったりすることもしばしばです。
そのような現状から、「気」をオカルトだと思っている方も多いと思いますが、そういう方には、とりあえず「気とは東洋哲学の一つ」と考えていただければ良いのではないかと思います。
私も鍼灸師になりたての頃は、むしろ「気」という概念は荒唐無稽であると否定して鍼灸をおこなっていました。
しかし、経験をつむにつれて、気の概念には深い洞察と英知があることに少しずつ気がついてきました。「気」の概念なくして、鍼灸の本質を活かしきることは難しい。
そのあたりのコアな部分は、今後ゆっくりと説明を試みたいと思っています。