病名とは定義です。
こういう症状で、こんな検査データを○○病と定義する。
そして現代において、病名と言えばそれは西洋医学の定義のことを意味しています。
病院で○○病と言われたのですが、鍼灸で治りますか?
日常的にこんな質問を受けます。
この質問に正確にお答えするとすれば「わかりません」です。
なぜならば、その病名は西洋医学の定義だからです。
東洋医学には東洋医学の定義があります。西洋医学と東洋医学では、体の観察において着眼しているものが根本的に違います。両者はプリンと茶碗蒸し位に、似ていてそうで、本質の異なるものなのです。
東洋医学では、症状と体質の関係性から病気を考えます。かりに同じ症状でも、体質が違えば違うカテゴリーになる場合もありえます。
また、東洋医学には、病気を定義しないまま、どの治療パターンに該当する症状、体質なのかで決定する概念があります。
どういうことかというと、例えば整形外科において、○○腰痛症であっても、変形性の膝痛であても、難しい名前の肩の病気だとしても、その結果、治療パターンは湿布と鎮痛薬だとします。
部位が違うとか、病気のメカニズムなどで、詳しく分類してみても、治療上はあまり意味をなしていないのです。だったら最初から「湿布と鎮痛薬で対処する症候群」という定義があればよいのではないか。東洋医学のこういう発想はとてもユニークと言えるでしょう。
そのような違いがあるため、例えば○○性腰痛症ですと病院で診断されたという場合でも、東洋医学では、泌尿生殖器系を治療するべきだとか、消化器系を治療すべきとか、まったく違う結論や治療方針になることもあります。
「いいや、整形的疾患なのです。消化器系など関係ありません!」と言われても、観点の違うところで分類しているのですから、この矛盾は当然と言えば当然です。どちらが正しいかではなく世界が違う。
でもご安心ください。このようなややこしい話を、患者さんにすることはありません。
治るかと聞かれれば、東洋医学の立場からという前提で、わかりやすくお答えするように心がけています。
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