これまで数百人の妊婦さんの腰痛パターンをみてきました。
妊娠による腰部の形や負荷の変化による、いわば妊娠性腰痛は、腰部の痛みというより殿部付近の痛みとして感じるようです。パンツのゴムラインより下の痛みです。骨盤帯痛とも言われます。
治療としては、側臥位(横向きに寝ること)になっていただき、殿部、後股関節と太腿などのエリアにマッサージを加えると症状が緩和されます。
さて、スウェーデンのGoteborg大学産婦人科が、ブリティッシュ メディカル ジャーナル電子版に2005年3月に発表したレポートによると、このタイプの痛みには鍼治療が有効だとのことです。
私の場合には、本人の希望、あるいは、医療マッサージで十分な効果が得にくい場合に、鍼の治療を行っています。経過jはおおむね良好です。
妊娠以前に、ヘルニアなどの腰痛を経験した方は、妊娠中の腰痛に敏感な傾向です。妊娠によって再発、または、悪化したと考えるのでしょう。
しかし、そのような方も、ほとんどの場合は病的腰痛ではなく骨盤帯痛であり、過去の腰痛歴は関係ないものがほとんどだと思われます。不安を抱かなくて大丈夫でしょう。
また、妊娠中に骨盤帯に痛みがある人が、とくに難産であるとか、出産の機能に差がある印象もありません。