ある患者さんの話しです。
40度近い発熱で、病院を受診したら、インフルエンザではなかったというので、良かったと思いました。熱は2日くらいで解熱しましたが、この間、体の節々は痛み、とてもだるかったです。
新型インフルエンザが懸念される現時点において、このような文脈はだれも抵抗なく受け入れ、「ああ、インフルエンザでなくてよかったね」と同意してくれることでしょう。
でも、ちょっと考えると、一体何が良かったか不思議だと思いませんか?
このケースにおいて、本人の経験した苦痛度は、おそらくインフルエンザとそんなに相違はありません。
例えば季節的な強風で家が破損したときに「ああ、台風でなくてよかったね」と言うようなものです。
ですから、「ああ、良かった」というのも、いかがなものかと。
さて、それでも私は良かったのではないかと思える部分があります。
それは、発熱です。
人は時々発熱くらいした方が良いと私は考えるからです。
発熱のほとんどは体が壊れた現象として発熱しているのではなく、身体が自らの機能をもって意図的に体温を上げています。
これによって免疫系が活性化されます。
また体温は筋肉などで作られますから、高熱は全身運動をしているのと同様で、代謝が高まった状態です。
運動で筋肉を使う場合には、その人が得意とする部分しか使用されませんが、発熱となると、普段はあまり使わない筋肉までまんべんなく機能する。
このようなことは、筋肉的な疲労の偏りを解消することに役立つかもしれません。
自動車などもそうですが、たまに高速道路などを走って思い切りエンジンを回すと、その後エンジンの調子がよくなることがあるように、身体の機能も、フル回転させることで改善する要素があると考えます。
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