私)いかがでしょうか。数回にわたって治療を行いましたが、何らかの効果などを実感されますか?
患者さん)いいえ、はっきりした変化はわかりません。
私 )そうですか。ではここ2週間の調子はいかがですか?
患者さん)それが、悪くならないのですよ。普通なら、ストレスを感じるような時にはいつも体調が悪化するのですが。
私 )なるほど。では、その分だけ体調が底上げされているというか、元気のレベルが上がっていると思われますがいかがでしょうか?
患者さん)私もそう思います。
=患者さんとの会話から=
自分の体が良くなっているか、変化しないかを感じ分けるのは、実は意外に難しいものです。
痛みが消えたとか、動かない関節が動かせるようになったという症状だけで評価するのであれば、それは単純かもしれません。
しかし、全体の体調や元気さの程度となると、話は単純ではないものです。
場合によっては、「指摘されて」初めて気づくことも多いことでしょう。
この会話のケースでは、効果は実感しないといいつつ、しかし普段なら悪くなる体調が悪化しないという矛盾した回答をされています。
一般に体の具合の悪い場合には、悪い「種」を探す傾向があります。
10の所見があったものが3まで減った場合でも、「でも、まだ3もあります」と言う具合です。良くなった事実をなかなか認めようとしません。
このような場合でも「7も減りました! あと3くらいしかありません!」と言う人がいれば、その後の回復も早いものです。
その方の「視線」が、どちらに向いているかによって、回復の歩みも違ってくるのが現実です。
PR