伝統的鍼灸において、施術は、気血を調整するためにおこなうといいます。
血とは、血流の状態、貧血でいうような血の成分や量的状態、慢性的な鬱血状態における血の質的悪化などを意味していると考えます。
では、「気」とはなんでしょうか。
「気」は、東洋医学の中核をなす概念です。肉体的、精神的な生命活動全般を、この「気」の概念をもって説明しています。
現在、この「気」を科学的に説明しようとする取り組みもなされていますが、いまだ合理的な説明ができるには至っていません。少ない根拠で科学的に説明しようとすると、逆に胡散臭い印象になったりすることもしばしばです。
そのような現状から、「気」をオカルトだと思っている方も多いと思いますが、そういう方には、とりあえず「気とは東洋哲学の一つ」と考えていただければ良いのではないかと思います。
私も鍼灸師になりたての頃は、むしろ「気」という概念は荒唐無稽であると否定して鍼灸をおこなっていました。
しかし、経験をつむにつれて、気の概念には深い洞察と英知があることに少しずつ気がついてきました。「気」の概念なくして、鍼灸の本質を活かしきることは難しい。
そのあたりのコアな部分は、今後ゆっくりと説明を試みたいと思っています。
学校へ行く時間になると腹痛がして、不登校状態の女子高生の治療を依頼されたことがあります。
実際は、もっと様々な症状を抱えているケースで、気分が落ち込み、体はつねに疲労感をおぼえ、一日の大半を眠ったりあるいは横になって過ごしている。外出も億劫で、定期的な病院への受診以外では外出もしないという状況でした。
私は臨床的な心理士でもカウンセラーでもありません。心因的とも考えられるこの状態に、鍼灸に何ができるのかとおもいますよね。
しかし、意外にも本人の治療感想はよかったのです。「治療のあとは、気分がハイになって、なんだかとても外出したくなる。昨日も治療のあとに本屋に出かけた。それまでのお薬や、カウンセリングではこんなことなかった」
そのような感じで数ヶ月経過し、曲折はありましたが、外出への不安がなくなり、普通の生活にもどることができました。
このような例も、昨日の鎮痛のメカニズムで書いたような、脳内における快物質の増加が貢献していると考えています。
私がはじめて鍼灸の治療をうけたのは中学生の時でした。原因はわかりませんが、指の関節が腫れて痛んだためです。
鍼の治療によって、指の腫れや痛みはすぐによくなりましたが、それよりも、体がとても軽くなった実感があってとても驚きました。みなぎる充実感を覚え、「これからフルマラソンをしなさい」と言われたら、きっと簡単にできる気がするようなスーパーマン感覚。
私の鍼治療のおける原体験として、今でも治療方針や効果を考える上で大きな参考になっています。
自分が鍼灸師になって考えてみれば、あの体が軽くなる実感とは、マラソンにおけるランナーズハイのように、脳内でおこるメカニズムが主なのではないかと思います。
鍼で麻酔効果をつくる鍼麻酔のメカニズムで説明されるような、脳内に麻薬様の物質が増加することによって、体が軽く感じられる。
さて、鍼灸には様々な治療スタイルがあります。
痛みの治療ということに絞るなら、トリガーポント(圧すとひどく痛を感じるところ)を直接狙って鍼をする方法が多くおこなわれています。痛いところに鍼をするこの方法は急性の痛みには効果があるが、慢性となると効果に差が出てくるともいわれます。
もう一つのメジャーなスタイルとして、伝統的な鍼の方法論にそって、痛みの部位とは離れた手足などの重要とされているツボに鍼をする方法があります。
私が始めて受けた鍼は、まさに伝統的方法でした。この方法の特徴は、慢性期の痛みにも効果が期待できるということです。それは私の体験が示すように、脳内レベルの機序が関係すると考えられるからです。
急性の痛みは、原因のある場所や脳への神経伝達路の特性を利用して鎮痛することができます。しかし、慢性の痛みの場合には、もっと中枢(脳)へのアプローチが必要だと考えられます。慢性の痛みには鎮痛剤より抗うつ剤などが効果があるというのも、慢性痛のメカニズムが中枢にあることを示唆していると考えられます。
もしかしたら、逆子かもしれないとちょと心配。http://ninninninpu.seesaa.net/ 2006年11月7日記事
無責任な発言とおもわれるかも知れませんが、あまり心配なさらないことも大切です。自然に治る場合も結構ありますし。
さて、妊娠中の逆子(骨盤位)を治す方法として、「逆子のお灸」という方法があります。
文献を検索すると、おおむね成功報告が多く見られます。
例えば下記はAmerican Medical Associationの、逆子のお灸 文献へのリンクです。(英文です)
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/280/18/1580
成功報告をまとめますと、妊娠30週代前半で、至陰 シイン (足の小指爪角)へ施灸することで逆子が治る割合は70-80パーセントとなります。
一方、イタリアでおこなわれた研究で、妊娠32-33週目の逆子の妊婦に逆子のお灸を行い、35週目に統計をとったが、お灸をしたグループとしなかったグループでの有意差はなかったという否定的な報告もあります。
私も、求めに応じて逆子のお灸を積極的におこなっています。経験的な実感としては、「良く治る、よく効く」という印象です。
逆子のお灸の具体的な方法は当院のサイトでもご紹介しています。(携帯向けに最適化したページです)
http://www.ann.hi-ho.ne.jp/haripo/i20.htm
セルフケアとして試す価値は十分にあると思います。
妊娠によって増えた体重は、産後どのくらい戻るのでしょうか。
今年、私が聞き取りをした人の中で、もっとも減った方はマイナス18キロ(産後10ヶ月間)。ちゃんと妊娠前の体重に戻ったというのですから、「予想外」です。
母乳が出ている、出ていないで分ければ、母乳が出ている人の方が痩せやすい傾向です。これは、誰が考えても当然と思うでしょう。
母乳を出すためのホルモンは、一方で出産のために弛んだ骨盤の靭帯を質的に硬化させ、関節としての骨盤を引き締めます。母乳が出るほど、骨盤が締まる仕組みです。
骨盤は、出産に向けて開き、産後は閉じてくる。さらに母乳をあげればホルモンの働きで締まってくる。
産後の方にこんな話をすると、母乳をあげることに違う目的を見出すようで、みなさん「がんばって出すぞ」などと決意を新たにするようです。